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12月31日

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花の少ない冬期に色どりを添えてくれるパンジーですが、10年続いている絵日記でも今回が初登場。 私はこの花に“苦手意識”があるのです。

もう20年以上前のことですけれども、私は美大に入るために2浪しましたが、1浪目の藝大の2次試験の静物着彩に

10〜20本(記憶が曖昧)あるパンジーが主役の課題が出たのです。私はガッチンガッチンの硬い、魅力のないパンジーを描いて入試に落ちたのです。

パンジーの魅力は、やはり色かと思います。多少平面的になっても、その多彩でコントラストの強い色の魅力を絵に現わせなければ、

パンジーという花の良さが感じられないでしょう。今より色が見えていなかった当時、また表現の硬さ・柔らかさのもつ意味に思い至らなかった当時、

パンジーは、私に色の識別力・再現力の不足を突き付けてきたのです。

1年後、私は色の能力をあまり問われない「チャボ」を描いて合格しましたが、この色と硬さの克服は、その後長い間、私が克服すべき課題となりました。

そんな20年前の出来事以来、パンジーを避けてきた私は今回、「そろそろ描けるだろう・・」と挑戦してみましたが、予想以上に難しかったです。

今まで獲得してきた識別能力や表現技術、水彩絵の具の知識をフル活用してなんとか形にした感じで、制作プロセスに間違いが許されず、余裕なし。

もし「パンジーの簡単な描き方を教えてください」と教室で問われたとしても、「簡単に、ってのは無理」というのが、現在は正直なところです。

何度か描けば、もう少し要点を整理できるかもしれませんが、現状では、パンジーの苦手意識を完全には克服できていない感じです。

 

本年はたいへんお世話になりました。良い年の瀬をお迎えください。